Sweet Garden

鉄筋の錆び(サビ)

2015年10月21日(水)10時52分

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敷地境界(外周)のコンクリート擁壁に写真のような錆びた鉄筋が立っているのを見たことありませんか?

建築会社さんや不動産屋さんが土地を造成する段階で、敷地境界(外周)にコンクリート擁壁を作ることが多いのですが、その際に後でブロックを積めるようにと写真のように鉄筋を出してくれていることがあります。しかし、その後すぐにブロックが積まれればいいのですが、いつまでもブロックが積まれずに、建物が完成に近づき、私たちエクステリア(外構)専門店にお話をいただく頃、鉄筋は写真のように真っ赤に錆びていることが多々あります。

さてさて写真のように錆びた鉄筋をそのまま使ってよいのかどうか。どう思いますか??

先に結論を書いておくと、弊社ではこのように錆びてしまった鉄筋は使いません。手間とお金がかかりますが、錆びた鉄筋はすべて撤去し、新たに「樹脂系後施工アンカー」という方法で接着剤を使い鉄筋をコンクリートとつなげます。一般的には「ケミカルアンカー」という名前で呼ばれているので皆さんも耳にしたことがあるかもしれません。

「錆びた鉄筋はアルカリ性のコンクリートやモルタルの中に入れれば中和されて、また空気に触れないので酸化が止まり問題ない」と言われることがありますが、それは下の写真のような状態までです。

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薄っすらと表面にサビが発生しています。触ると赤い粉が指につくような状態です。真新しい鉄筋を持って来たとしても、雨に降られて数日経つとこのよう状態にすぐになります。でもこれぐらいのサビならまず問題はない(鉄筋には影響がない)と判断しています。

しかし、最初の写真のような鉄筋は触るとかさぶたのようにパラパラとサビが落ちます。丁度よい具合に横向きにされた鉄筋があったので写真を撮ってみました。鉄筋の下のコンクリートはゴミもなくきれいです。
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しかし、鉄筋の表面を触ってみると…

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ポロポロと表面のサビが落ちます(鉄筋の下に見えるツブツブです)。

鉄筋が異形(表面がデコボコしてモルタルが食いつきやすくなっている)でも、ここまで表面がサビているとモルタルの食いつきが悪くなり(というかサビで表面がはがれる状態なのでそもそもくっつかないと思います)、隙間が出来て水が入り、空気にも触れてサビが止まるどころかドンドン進行していきます。

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古いブロック塀が写真のようにヒビ割れているのを見たことがあると思います。適当な写真が無かったので少し分かりにくいですが、ブロックが割れているところは大抵、中に鉄筋が入っています。なので、(ほぼ同じ高さで)横方向にブロックが割れていたり、一番下から一番上まで、など縦方向に割れている場合も大抵その下に鉄筋が入ってます。ブロックの中の鉄筋がサビて膨張して(ふくらんで)ブロック塀を割っているんです。

外周のブロックは2段ぐらいしか積まないし、それぐらいの高さなら倒れてケガすることもないしお金を掛けるのは勿体ない、と考えるかもしれませんが、私どもはその道のプロとしてお客様からお金をもらってブロック塀を作るわけで…。ブロック塀の高さが低い、高いで錆びた鉄筋を使っていいかどうか判断するのはおかしいですよね。

まあいろいろ書きましたが、単純に新しい鉄筋は錆びていないのに、真っ赤に錆びた鉄筋をそのまま使用しても問題ない、と思えないわけで。

錆びた鉄筋を撤去して、新たにアンカー基礎を打つ。m数が長ければ数万円の費用になります。他社さんではこんな費用は掛からない、と言われようとも、私は錆びた鉄筋は使わずにいきますよ~。それを高いと言われて断られてしまったらそれまでですが、よくないと思っている事を仕事を取るため、値段を安くするために妥協はしたくありません!なので外周部分には鉄筋が刺さっていても、写真ぐらいに錆びていたらスウィートガーデンではその鉄筋は使いませんのでご理解くださいm(_ _)m

ち、な、み、に、新しい鉄筋に替えると錆びていないので写真の古いブロック塀みたいに割れることはないのか?と思われるかもしれませんが、鉄筋の酸化を止めることは出来ないのでいつかはブロック塀の中の鉄筋が錆び、膨張して割れる時が来ます。簡単ですが理屈を書いておくと…

コンクリートやモルタルは表面が固いので意外と思われるかもしれませんが、電子顕微鏡レベルで見ると表面は穴が開いています。水がコンクリートに浸み込むのもこのせいです。
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(ネットで拾ってきました。勝手に画像を使ってごめんなさい)

先ほども少し書きましたが、コンクリートやモルタルはアルカリ性で、アルカリ環境化では鉄筋が錆びることはありません。ところが、コンクリート表面の微細な穴から二酸化炭素が進入するとアルカリ性のコンクリートが表面から徐々に中性化されます。するとアルカリ環境化では錆びることがなかった鉄筋も中性化された環境では徐々に酸化が進み、表面が錆びてきます。錆が進み、膨張してくるとブロック塀のひび割れや剥がれを引き起こす…

まあこんな感じです。
なので新しい鉄筋をつかってもいずれは錆びます。ブロック塀は割れます。そのため(安全に使えると考える)ブロック塀の寿命が一般的に25年とか30年とか言われているのです。でもそもそも鉄筋が錆びていたら…。その年数がグッと短くなることは想像できると思います。

なので少しでも長く(ブロック塀)使えるように古い錆びた鉄筋は使わないようにしているんです。「作ったら終わり」のエクステリアではなく、「ずっとお付き合いしていきたい」ので、この辺りは妥協せずにこれからもやっていきますよ~

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